うちの子はひとりっ子です。おもちゃの取り合いもせず、競い合いもあまり経験せずにのんびりと過ごしてきてしまいました。
私ものんびりタイプでお父さんものんびりタイプのため、まぁ、子供も100%のんびりタイプな訳です。
質問されると目線をそらして無視する子供
おでかけ先で知らない人に声をかけられたとき、子供を見てご年配の方から声をかけられます。
内容を入力してください。
・・・。
(俯いたり目線をそらして無言)
すみません。人見知りで…。
こういう時、子供は決まってちょっと小首を傾げた様子で目線をずらして固まってしまったり無視したりするのです。
・・・お返事、ちゃんとできたらいいなぁ・・・といつも思っていたのですが、最近子供の様子を見ていて「あぁ、そうだったのか」と思うことがありました。
子供が無言なのは無視じゃなくて悩んでいる時だった
私と絵の具で遊んでいるとき、微妙に黄色とオレンジの間の色を差して聞いてみました。
これは何色かな?
・・・。
(目線をずらして無言)
(あれ?この様子は…
ご挨拶できない時とそっくりだなぁ)
この様子は知らない人やあまり好きじゃない人に話しかけられた時の様子に似ています。
子供はあのとき、質問を無視した訳じゃなくて考えていたんだなぁ。
何歳?とか名前は?とか、考えなくてもすぐお返事できそうな内容の時もそうだったのでまさか悩んでいるとは思っていませんでした。
話したくないから無視したのだと勝手に思っていたのですが、たぶん子供の中では「どんな風にお返事したらいいのかわからない」という感じで何か考えていたんでしょう。
のんびりタイプなのでお返事を考えるのに時間がかかる
子供のこの考えている様子に気付くと、いろんな場面でそれが出ているのにも気付きました。
子供の思考がまわりの速度についていけていないということがわかります。
でも、これって子供と私以外の人にとってはただの無視にしか見えていません。
例えば、話しかけてくれた知らないおばちゃんは「あら。お返事無いのね。残念」とすぐに手を振って立ち去ってしまいます。
風船配りをしている人に「何色がいい?」と聞かれた場合は、畳みかけるように「赤?青?黄色?」とどんどん聞かれます。
相手の方が悪いわけではないのですが、普通の人がお返事を待てる時間内には返せないのです。
子供にとって世の中はかなりのスピードで動いていて、考えているうちに物事は自分を置いて去っていく感じでしょうか。
あぁ、だから子供はずいぶん経ってから「・・・黄色が良かった」と泣いたりするんだな。
のんびりタイプの子供が選びやすくなる質問方法
療育先でも似たようなことはよく起こります。
先生も他の生徒さんを見ているので、なかなか子供が答えを出すまで待っていられない場合もあります。
でも、比較的他の場面よりは待ってもらえて、子供が答えを出しやすいように質問してくれるのです。
これは丸ね。こっちは三角。これは四角だね。
どれがいいかな?
置くときは四角か三角が置きやすいかな。
手に持つなら丸いほうが持ちやすいかもしれないね。
じゃあまる!
療育先での質問方法のポイントをまとめてみましょう。
- 選択肢をひとつずつ言葉で表す(子供がわかりやすい)
- それぞれの違いを簡単に説明する
どれがいいか子供に選ばせる時のポイントは、子供が答えを出しやすいようにひとつひとつの名前を言葉で伝えることと、それぞれの違いを伝えることです。
子供はまだまだ言葉で自分の気持ちを伝えるのには時間がかかるので、言葉に置き換えて(物の名前や感情(怖い、楽しいとか)や動き(遊びたいとか座りたい)など。)示してあげます。
そうすると子供は自分で言葉に置き換える作業を短縮できるので答えを早く伝えられるって訳です。
そのうちに少しずつ早く決断できるようになったり言葉に置き換える作業も早くなったりして、自分でサッとお返事できるようになっていくのを目指します。
周囲の動きが早すぎてついていけないと子供も悲しい
そういえば、大人になった私も周囲の動きについていけなくて悲しくなることはたまにあります。
会話が早すぎて聞き取れないとか、返事をする間も与えてくれない人とか、あと、知らないうちに怒りだす待つのが苦手な人とか。
あぁ、今の子供にとっては世の中は常時そういう感じなのかもしれません。
のんびりタイプの子供にとって、世の中のスピードに合わせるというのはなかなか難しいです。
まだ小さい子の場合は、無理と考えたほうがいいかもしれません。上手に答えられず、思った結果が得られずに悲しい思いをすることも多いでしょう。
子供の答えを待てずに親の考えを押し付けると、自分で考えない子になる
私も母によく叱られていました。
どれ?どれがいいの?
ハイ!これ!これでいいでしょ!
鈍くさすぎて待っていられないわ!
うん。
(本当は違うのが良かったけど、もう言えないや…)
のんびりした私とテキパキが好きな母は合わなかったので、いつも返事をする前に母の選んだものを押し付けられていました。
途中からは自分では選ばないようにしていました。なんでもいいや。母が勝手に決めるからと思っていました。
母に決められてしまったものが好きではない物であっても、母に意見をするのはとても面倒なのでしないようにしていました。
こういった事が続くと、子供は自分で選ぶという事をしなくなります。
親は「子供を待たなくてもいい」し「子供が親の言う事を聞く」ので楽でしょうが、それを続けると子供が意思決定や主張のできない子になってしまいます。
私は今でも「母が喜ぶ選択」を無意識で選ぼうとしてしまいます。自分の意思じゃなく。
そうなると子供の気持ちはずっと抑制されて満たされないんですよね。
子供のスピードに合わせて待つことも自立のために大切
子供にとって、自分で判断して決めるということは自立のために大切なステップです。
でも、実際には周囲を子供の速さに合わせてもらうことはできないので、できるだけふたりの時はじーっと待ってあげて、自分で選ぶ楽しみを大事にしてあげたらいいかなと思います。
子供の言葉を待つ時のポイント
うちの子の場合は会話の最初に「あのね。あのね。あのね。・・・」と10回くらい繰り返すのもしょっちゅうです。
言いたい事はあるのですが、うまく言葉が出てこない様子。
- 「うん。ゆっくりでいいよ。なあに?」と、せかさずに待つ。
- 子供の目線に合わせてにこにこする(子供が落ち着けるような態度)。
- 子供が自分の言葉で伝えられたら褒める。
- 内容がどんな事であれ「そうか。あなたはそう思ったんだね!」と肯定する。
子供の言葉を待っている時に親が怒っている雰囲気や困っている態度をとると、子供は委縮して自分の気持ちを出せなかったり、親を困らせたくないので伝えることを諦めてしまいます。
私はいつも心の中で「おぉ。これは今、脳が情報をまとめているのね。焦らせたらショートするね。・・・私は今、修行僧だ(気分的に)。」と思って焦る気持ちを胡麻化しています。
でも仕事をしているお母さんなら忙しくて困っちゃうと「早くしてー!」と言いたくなる時もありますよね…。
そんな時はもう「待っててあげたいけど、今ちょっと時間が無いから、また時間がある時に聞かせてね!」というしかないのかな。
決断力を強化するには、練習を積んで慣れること
さっと決断する力とか、思考回路を高速化する方法ってあるんだろうか。やっぱり慣れというか訓練なのかなぁ。
なんとなくなのですが、うちの子の場合は言葉は問題なく理解していそうなので「返事してしまっていいのだろうか?」とかで悩んでいそうな気もします・・・。
やっぱり、練習を積んで慣れていくしか高速化する方法は無さそうな気がするので、今後も修行僧の気分で子供の言葉を待つことにします。
どうしても焦ってしまうお母さんはこの本を読むと、子供の気持ちがわかるかもしれません。
「はやくはやくっていわないで」は、増田ミリさんの絵本です。私も読んでドキッとしました。
「早く!」と子供をせかすのが日課になってしまっているお母さんにおすすめです。
★☆ 育児でおすすめの本シリーズ ☆★
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