緊張する場面ではまったく喋らないうちの子ですが、自宅で私といる時やリラックスしている時は比較的よく喋ります。
しかし、最近「主語が抜けた話し方」をするという点が気になっています・・・。
子供の話は主語がないのでうまく相手に伝わらない
子供はまだ想像力が乏しいためか、自分と他人との境界線が曖昧です。
自分の見たものは相手も見ているし、自分の頭の中で考えていることを相手も共有しているように感じるのです。
自分が見たものは他人も同じように見ている(うちの子の場合)
先日、キッチンで料理をしているとリビングにいた子供が走ってきて言いました。
おかあさん!すごい大きかったね~。
なに?何が大きかったの?
キリン!
おかあさん、テレビ見てないから
細かく説明しないと伝わらないよ…。
自分が見たものはおかあさんも見ていると思っているらしく、話をするときにすっぽりと主語が抜けているのです。話をしてもなぜお母さんには伝わらないのか、ピンとこない様子です。
頭の中に浮かんだものを相手も理解している(うちの子の場合)
そして、自分の頭の中に浮かんだものを他人も理解していると感じています。
あれが無い。どこにあるの?
あれってなに?
無い!無い!無い!どこ~?
無い~!探して~!探してよ~!!(怒り出す)
だからあれってなに?(ちょっとイラッ)
あれって言われても解らないよ。わからないのに探せないよ。
わりと落ち着いているときだと、「何が無いの?どんなもの?」と根気強く聞けば子供も「タオル」とか答えることができます。
でも、子供本人に余裕がなくてイライラしていると問いかけが耳に入ってこないので言葉で説明することもできず、泣いてしまって手詰まりです。
そういうとき、子供は相手が「同じテレビを見ている状況」「毛布が無いと知っている状況」だと思っているようです。
「自己と他者の境界が曖昧」はアスペルガーの人がよく持つ特徴
うちの子は自分の知っていることは相手も知っているし、自分と同じことを考えていると思っています。
これは発達障害の人がよく持つ特徴で「自己と他者の境界が曖昧」というもの。
自分と相手が同じものを見ている・体験していると考えているので、話す時に端折ってしまいます。
相手からすると話が通じなくてイラッとしてしまうのは当たり前ですよね。
子供だから仕方ないのだろうか?と考えて、落ち着いている時に説明をするのですが、やっぱりピンとこない様子です。
定型発達の子達も小さい頃はこういった様子が見られると思いますが、成長と共に自分と他人とをわけて考えられるようになっていきます。(だいたい小学校2~3年あたり)
なので、その部分の発達が遅れるタイプのお子さんは、小学校に入ってからコミュニケーション部分で問題を抱えやすいのです。
自己と他者との境界が曖昧な場合に起こりやすいトラブル
自己と他者との境界が曖昧だと、他人を自分の一部と思い込んでしまいます。
そうするとどんな困ったことが起こるのかを、小学生くらいの子を想定して考えてみたいとおもいます。
- 自分と他人の物の区別がつきにくい
- 自分を客観的に見ることができない
- 自分の気持ちを他人に伝えるのが苦手
- 他人の意見を受け入れられず、自己中と思われやすい
自分の物と他人の物の区別がつきにくい
他人を自分の一部と思い込んでいるため、他人の物を自分の物のように扱うことがあります。
他人の物なのに「貸して」と言わずに勝手に使ったり、自分の物にしてしまうのです。
境界線が曖昧なので、注意されてから「あっ、そうか」と思ったり、まったく悪いと思っていなかったりします。
お店のものをとったり、他人の物を自分のバッグに入れてしまうと犯罪になってしまうので、小さい頃から注意したい点です。
自分を客観的に見ることが苦手で身なりに無頓着
他にも、自分を客観的に見ることが苦手で恥ずかしいという感覚がわかりにくい場合があります。
そうなると、人の目を気にして身なりを整えようという気持ちを持ちにくく、オシャレに興味が出てくる同年代のお友達の中で浮くようになってきます。
自分を客観的に見られずよくわからない状態だと、どうやったら良い方向にいくのかわからないので、自分を変えることもできません。努力する方向がわからないのです。
自分の気持ちを他人に伝えるのが苦手
ずっと自分の考えていることは他人も理解していると思ってきたので、自分の気持ちを他人に伝えることが苦手です。
基本的に他人に説明しないので理解されませんし、誤解されても誤解を解くことができません。
トラブルになって悪者にされても、説明下手で解決できずに泣き寝入りするようなことになります。
優しい人ばかりに囲まれている場合はいいですが、悪意のある子の標的になっていじめられても嫌と言う事もできません。
他人への注意を自分への注意と受け取る
うちの子の場合ですが、他人が怒られているのを見ると、自分が怒られている気持ちになって泣いたりします。
他人に起こったことを自分に起こったことのように感じるので、自分は怒られていないのに怒られたと感じるようです。
痛い目にあったり、不幸になるお話を読んでもショックを受けるため、危ない場面のあるや怖い敵が出てくる映画も見るのが苦手です。
感受性が強いということは良いことと捉えられがちですが、強すぎるのは困りごとが増えます。
感受性が強すぎる場合には自他境界に問題を抱えているのかもしれません。
他人の意見を受け入れられない
本人は自分のことを理解されている前提で話をするため、「どうして理解してくれないの?」といって他人を責める場合もあります。(説明してないのに!)
そして、他人と自分は意見が違って当たり前だと思っていないので、自分と違う意見を出されると自分を否定されたように感じるのです。
そうなると自分と違う意見を受け入れられず、他人には自己中な人と思われてしまいます。
小さい頃から「他人と自分とは違う人間」と伝えていこう
子供の頃はみんな自己と他者との境界なんて曖昧です。でも、発達障害の子の場合は、自分で気付いて修正していくのに時間がかかるんです。
なので、小さい頃から意識して「他人と自分とは違う」と伝えていくことが大切です。
- 自分の気持ちは伝えないと他人には伝わらないと教える
- 他人は自分と違う意見を持っていると教える
- 物を共有せず、自分の物を持たせて区別させる
- 自分を客観的に見る手助けをする
親が先回りして子供の要望を叶えない
母親は子供と一緒にいる時間が長いので、見ているだけで子供の気持ちがわかることが多いです。
でも、先回りして世話をしたり希望を叶えてあげることは控えて、自分の意見を伝えないと伝わらないという状況を作るようにしましょう。
伝える前にお母さんがやってしまったら、自分の要望を伝える練習ができません。気付かないふりで子供が「やってほしい」と言うのを待つと、言わなければ伝わらないと思うようになります。
当たり前のことなんですけど、これが一番大事です。基本的に言わなくても伝わっていると思っていることで、コミュニケーションのズレが生じるのだと思います。
ここが理解できないと、具体的な説明をしても納得できないので身に付きません。
違う意見も聞いて考える練習をしよう
普通は他人と自分の意見は違って当たり前ですが、発達障害の子は一緒だと思い込みがちです。
意識的に違う意見を聞いて、考えたり認めたりして、受け入れる練習をしましょう。
- 子供の意見を聞く
- 「そっか。あなたはそう思ったんだね!」と認める
- 「お母さんはこう思うよ」と違う意見も聞かせる
- 「どっちがいいか考えよう」と伝える
- それぞれのメリット・デメリットを伝えて、どちらにするか決める
最初は絶対に自分の意見を通そうとしてくると思いますが、慣れてくるとメリット・デメリットを聞いて考えるようになってきます。
違う意見も考えてみたらいいかもと思う経験が積めれば、他人の意見も聞くことができるようになります。
自分の物を持つ経験をさせて、他人の物と自分の物を区別させる
他人と物を共有することばかりをしていると、他人との境界が曖昧になりやすいです。
「自分だけの物」を持たせることで、他人の物との違いを意識させましょう。
自分だけの物を他人が勝手に使うと嫌な気持ちになることも覚えられるし、貸し借りのルールもしっかりできるようになります。
お店に行った時も「お店の物は自分の物ではないから勝手に使ったり持ち出してはいけない」と伝えましょう。
自分を客観的に見る手助けをしよう
小さい頃は特に、自分の気持ちや要望を言葉で伝えることが難しいです。語彙力がないのでうまく説明できないのです。
困っているけれど、どうしたらいいかわからないという状況なら、「どうしたの?」「何か気になることがあるの?」「困っているの?」と聞いてみましょう。
自分の状況や気持ち、不快に思っていること、困っていることなどがわかってくれば、「〇〇で困っているんだね」「○○したいと思っているんだね」と状況や気持ちをかわりに言葉にしてあげましょう。
そして解決策も「こういう時は〇〇って言えばいいよ」と伝えましょう。
状況把握→原因を理解する→対策を立てるという流れができるようになります。
基本の「5W2H」を考えながら話すように伝えよう
基本の5W2Hというのは
- 誰が(Who)
- 何を(What)
- いつ(When)
- どこで(Where)
- どんな目的で(Why)
- どのように(How)
のこと。
これを考えながら文章を組み立てる練習をすれば、わかりやすい文章を作ることができるようになります。
まぁ、子供には難しいと思うので、私は「話しかける前にまず「誰が」というのを入れてから話すと相手に伝わりやすいよ」と伝えています。
そうすれば、とりあえず主語がない!と怒られることは避けられるとおもいます。
説明が長くなってわかりづらい場合は要点から
「そうだ」とか「ちがう」とかだけでも、結論をはじめに一言で言っておくように伝えると聞くほうも理解しやすくて楽です。
私はよくこのパターンに陥るのですが・・・相手に伝わるように話したいという気持ちが強くて、必要以上に細かな説明や前置きをつけすぎてしまうことがあります。
正確に伝えたいと思うあまり、いらない情報がたくさん詰まっていて聞いているほうは訳がわからない状態です。
子供も「えーっと…」といいながら、無駄に長い説明をすることがあるので、聞いているほうはイライラします。
でも、結果がわかっていれば子供が言葉を探しながら話すのも、イライラせずに待ってあげやすいのでおすすめです。
家族全員、この特徴を持っていると思う
この特徴は家族全員が持っているような気がします。
お父さんの場合、わかりやすく言うと「自分がお腹いっぱいのときは相手もそうだと思っている」ようです。
私が何も食べていない状況でもそう思っていて、私がお腹空いた・・・と何か食べようとすると「まだ食べるの?よく食べるなー」と言ってきたりします。
いや、あなたはお腹いっぱいだと思うけれど私は何も食べていないのよ。と言うと、たいそう驚くのです。
これは昔からで、私はお腹がすくと機嫌が悪くなるタイプなのでしょっちゅう喧嘩してたなぁ。
あのレストランに行く予定だったけど、お腹ぜんぜん空いてないから
予定を変更して軽いものでいいよね。(おやつの食べ過ぎ)
は!?私、お腹空いてるんだけど!
というか、楽しみにしてたからおやつも我慢してたんだけど!
え?なんでお腹空いてるの?おやつ食べたよね?
食べたのはあなただけです。
他人と自分は違う人間で違う方向を見ていて違う考えをすると頭ではわかっていても、もともと境界が曖昧だったせいなのか、気付くとこういう感じになっています。
おかしなことを言っているということも、他人に指摘されてからやっと気付くのです。
私もこのブログは話があちこち飛んで読んでいる人も読みづらいだろうなぁ・・・と思いながら書いています。すみません。
とりあえず、子供は自分で気付いて主語を入れられるようになるまで、毎回「誰が?が抜けてるよ」とツッコんでいこうと思います。
あと、やっぱり本をたくさん読んで基本的な文章力をつけるのが良いそうです。読書はやっぱり大事だなぁ。
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